またストレスフルな時期がやってきた。もうすぐフライト機器の検査に入る。検査が完了するまでに次のポジションを探さなければならない。
NASA(アメリカ航空宇宙局)はシビルサーヴァント、いわゆる連邦公務員とコントラクター(請負社員)とでなっている。
私はコントラクターで、ミッション・プロジェクトのたくさんある中の一部のタスクを担っている。
ミッション・プロジェクトというのは大雑把に言って、コンセプト・デザインステージ、予算取り、開発ステージ、開発機器(いわゆるダミー)の検証と検査テスト、開発ステージのすべてのパーツの統合(インテグレーション)。統合システムの検証と検査。この検査をパスするとやっとフライト機器(実際にロケットにのせて打ち上げる)機器パーツの製造が始まり、パーツごとの検証と検査を経たのち、全てのフライト・パーツをスペースクラフトにインテグレーション(統合)して、さらに検査テストを行い、これをパスすると打ち上げの準備完了ということになる。コンセプトの立ち上げから打ち上げ準備完了までかなりの時間がかかる。
私の仕事は検証と検査。このタスクを完了してしまうとまた流浪人になる。現在はちゃんとしたコントラクター会社の社員として働いているので、この会社が次のポジションを探してくれる、はずだけど。
以前は大学から派遣された請負科学技術者をやっていたので、いわゆるソフトマネー、プロポーザルを書いて資金を集めて研究開発をするというホントの流浪人だった。でも私はPh.D(博士)ではないので自分の名前ではプロポーザルを出せない。誰かバックアップしてくれる博士を見つけてその名前で出す。
以前大きな惑星探査のミッション応募に2つぐらいプロポーザルを出したがダメだった。
NASAのミッション応募にプロポーザルを出すためには、まずNASAの科学オブジェクティブ(達成すべき科学目標)を読み込まなければならない。科学目標というのは例えば、「太陽系の成り立ちを知りたい」そのためにはどんな研究調査したら良いのか、太陽系の成り立ちを知ることでどんな貢献ができうるのか、など。このオブジェクティブを踏まえていないと、まずプロポーザルとして認めてもらえない。
オブジェクティブ踏まえてると思ったんだけどねぇ。
まあ、プロポーザル通ってミッションのPI(プリンシパル・インヴェストゲーター)になれる科学者なんてほんの一握りだよね。
私は論文なんて数えるほどしか書いてないし、これまで科学研究の発展に寄与してきてないしなぁ。
だから、研究職から検証と検査の仕事に移った。
人生、色々あるよね。
うちの母親によく言われたよ、
おまえ、結局、何一つ、幕がとおってないって。
そう、私は若い時から、一つのことをやり通すということができない、というか
他にやりたいことが出てきてしまうんです。
東京で商社に勤めて、親との約束の3年間を勤め上げたので会社辞めて、
役者になりたいと思って、当時はまあまあ有名だった若城希以子
いや、今ウィキ見たら、この方ホントに有名だったんだね。
長野の白馬の友人の紹介でこの若城先生に書生として弟子入りしたのが21ぐらいだったかな。朝4時に起きてまずお風呂を沸かして、
「先生、お風呂が沸きました」と先生を起こす。
それから、朝食などすませて
お稽古
ある時、渋谷のNHKに連れて行っていただいて、
森繁久弥さんなどにも紹介してもらって
森ミツコさんなどにもお会いして
いずれは文学座に入れてやるからと
言ってもらっていたのに
私の大好きな宮沢賢治を「あれは文学ではない」
と先生に一括されて、
辞めちゃった。
私の顔は十人並みだけど、まあ文学座に入りさせすれば
と先生は言っていたのに
辞めちゃった。
これが私なんだね。
なんか、60過ぎて
アレも、コレも、
あの時、こうしていたら
今頃は どうなっていたんだろう、てことがたくさんある。
さて、NASAでの仕事探し、また頑張らなきゃ。
*1:若城希以子: